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久しぶりの外食
久しぶりの帰省が叶った2021年年末、長女旦那が長女両親と食事に行こうと提案してくれた。
そんな風に外食するのはいつ以来だったろうか。新型ウイルスの騒ぎもあり本当に久しぶりだ。
念のため母親に尋ねる。
「外食しても大丈夫そう?」
最近は散歩にすら出ようとしない父親が電車に乗って出かけても大丈夫なのか、長女もやや不安になる。
母親の了解を取り、夜遅くならないように早めの時間で予約をする。帰りはタクシーに乗せてしまえばいいだろう。
当日は朝から父親に
「今日は夜ご飯を食べに外に出かけるからね」と声をかける。
「あぁそうなの」とうなづく。
昼ご飯の後、何度も菓子を食べようとするので「外食に行くから程々にね」と声をかける。
「え?そうなの?分かった」
そして夕方、そろそろ着替えてと母親が声をかけると
「着替えなきゃいけないの?」
「出かけるって言ったじゃない」
そんなやり取りをしている。
不思議と揉め事にはならない。
以前なら「分かっているのにいちいちうるさい」とか「急かすな」とか文句を言い、つまらない言い争いになっていたはずなのに。
なんだか調子狂うよなぁ。
目の前にいる頼りない老人は本当に自分の父親なのだろうか。
ふとそんな思いで眺めていた。
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