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翌日、メッセージのやり取りを見た三女から連絡がくる。
「両親は大丈夫そう?」
「そうはいっても母親はいつも通りのお惚けさんだよ。父親がね〜怪しいよ」
「電話すると、すぐに母親に代わって欲しいって受話器渡してしまうよね」
後に調べたことだけれど、電話を嫌がるのは認知症の人によくある行動らしい。対面で会話をしていても質問されると返事を代わって欲しそうに妻などに顔を向けたり、返事してもらえるように仕向けたりするそうだ。
会話が難しくなっている。
聞いたことを理解して相応の返事をするということは高度な作業なのだろう。
父親は耳が悪いのでそれで電話は嫌なのかな?と思っていたのだけれど、今思うと認知が怪しい予兆だったのだ。
「とりあえずは元気そうだったし、行けそうな人が交互に様子を見に行こう」
この日はそんなやり取りで終わる。
『もの忘れ』なのか『認知症』なのか。
同年代の友人がよく用事を忘れてしまうからと心配になって病院で検査をしてきた。年齢相応との診断が下り、それで分かったことは“忘れてた”ことを認識しているのは『もの忘れ』なのだそうだ。『認知症』になると忘れたこと自体を忘れている、忘れたかどうかを分かっていないということらしい。
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