大人しい父親

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大人しい父親

長女は父親と仲が悪い。 長女家の子供たちも祖父を嫌っている。 幸か不幸か、その事実が過去のものとなろうとしている。 世の中の父親というものは、だいたいにおいてワガママで自分勝手なものだと心得てはいるが、我が家の父親の場合、論理に思い込みと矛盾が多すぎることやイエスと言わない人を批判しがちなことが長女を常にイライラさせた。 父親は自分の話したいことしか話さない。自分が興味のあることをあれこれ調べてその考えを皆に披露する。 「それは違うんじゃないの?」 などと言おうものなら、ああだこうだと反論して言い合いになる。 そして長女は父親を論破してしまうことができる意地の悪い能力を備えており、論理が破綻した父親は最終的に 「日本はもうお終いだな」 「こんな国に未来はない」 などと未来ある小さな孫たちの前で吐き捨てるのである。 そりゃムカつくだろ。 長女旦那や子供たちは呆れている。 だけどさ、 娘が言わなきゃ誰が言う。 とはいえ、昔からずっとそうだった訳ではないし、話を適当に合わせていた時代もある。 第一子である長女、当然可愛がられており、小さい頃は色々なところに遊びに連れて行ってもらった。姉妹の中で父親と二人で旅行に行ったことがあるのは長女だけだ。
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