嘘つきの砂時計

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 おばあちゃんが死んだ。    遺言により、孫であるあたしの通帳にも遺産がふりこまれた。その額、1000万円。あたしが結婚した時のご祝儀にと、こつこつ溜めてくれていたらしい。  1000万円!  フリーターのあたしにとって、かなりの大金。これだけあれば、しばらく働かなくていいよね! 「もしもし、店長。あたし今日からバイトやめまーす。それじゃ」  電話の向こうで、店長があわててる。急に言われても困るよ、せめて今日のシフトは入ってくれないか……なんて言ってるのを無視して、通話をぷつっと切ってやった。あー、すっきりした。  店長にこきつかわれ、お客様にへこへこ頭をさげ、スズメの涙ほどのお給料をもらう。そんなクソみたいな生活から、あたしはとっとと逃げ出すことにしたのだった。
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