嘘つきの砂時計

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「どうしよう……」  最新のパソコンやタブレット、服やバッグやアクセサリーが散らばっている部屋。ふかふかのベッドに腰かけて、あたしは一人、頭をかかえていた。  通帳の残高、あとこんだけ。今月の家賃を引き落とされたら、生活費だってままならない。  元の生活に戻らなきゃ。  フリーターだろうとなんだろうと、自力で働いて、お給料の中でやりくりする生活に戻らなきゃいけない。だけど。 「そんなの、嫌」  苦労せず、欲しいものがなんでも手に入るっていう、ぜいたくの味を知ってしまったんだもの。今さら、あんなみじめな生活には戻れない。  ……とはいえ、このままじゃ生活できないのも事実。どうしよう。どうすれば、このレベルの生活を維持しつつ、楽して大金を稼げる? 「……あ!」  答えはあたしの手の中にあった。デジタルデバイスがつなぐ、インターネットの中に。
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