嘘つきの砂時計

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◇◆◇  夢を見た。  あたしは大きな砂時計の中にいた。さらさらさら、さらさらさら。上から黒い砂が落ちてくる。あとからあとから。このままじゃ、窒息してしまいそう。 「あ、おばあちゃん!」  砂時計の外におばあちゃんがいた。悲しそうな顔で、あたしをじっと見つめている。 「出して、ねえ、ここから出して。だいたいなんなのよ、これ!」 ――「嘘つきの砂時計」  おばあちゃんの声は、なぜか頭の中に直接響いた。 ――嘘をつくごとに、黒い砂が落ちてくる。つきすぎた嘘は、いずれ自分をも飲み込んでしまう。 ――嘘はついちゃいけないよ、といつも言い聞かせていたのに。おばあちゃんの気持ち、伝わっていなかったんだねえ。  悲しそうにおばあちゃんがしゃべっている間、さらさらと砂が落ち続けていく。首まで砂に埋まり、あたしは焦ってきた。 「ま、待っておばあちゃん、あたし、嘘をついたわけじゃ……」  言い訳しようとしたあたしの目を、おばあちゃんはじっと見つめた。 ――情報をかくさず、本当のことを全部、ちゃーんと伝えたかい?
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