3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、それは……」
嘘はついてない。ただ、本当のことをすべて伝えていなかっただけ。おばあちゃんには、あたしの浅はかな魂胆なんてお見通しだった。
さらさらさら。
黒い砂が降りつもる。
あたしの体を飲み込んでいく。
口に、鼻に、砂が入ってくる。
必死に手を伸ばしても、砂の外に出られない。
「出して、助けて、このままじゃ……!」
――いいかい、嘘っていうのはね……。
砂に飲み込まれる刹那、おばあちゃんの言葉が降ってきた。
――「人を騙そうとする気持ち」そのものなんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!