大人になりたかった少女

1/1
前へ
/9ページ
次へ

大人になりたかった少女

はやく大人になりたかった。 いつから、と言われれば少なくとも私の記憶の 一番奥底にいる私は既に大人になりたかった。 大人というものに憧れていた訳では無くて、 とにかく子供でいるのが嫌だった。 あの小さな世界から逃げ出したかった、ずっと。 まだまだ幼かった私に出来るちっぽけな背伸び、 伸ばした手は何を掴みたいのかも分からず それでも必死にもがいたあの日々は 決して無駄なんかじゃ無かった。 あの日、全てがそこから始まった。 あの景色も、色彩も、風や匂いも、 全てが私の心に突き刺さったんだ。 今でも思いだすよ、あの頃を。 15歳の私とマスカラの話、それから 何でもない思い出話をいくつか話すから どうかあなたに聞いてほしい。 届くことを願って。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加