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「お前みたいなブスこっちがお断りだっての」
そう言って私を見下ろす男友達と彼と同じ部活に所属している人達。何を言われているのか。とろいと称される私の頭は理解してくれなくて。
遠慮もなければ優しさもない、びっくりするほど痛い言葉の数々を。まるでサンドバックにでもなった気分で受け止める。
「分かったなら、二度と俺に近付くなよ」
じゃあ、この状況になった原因も、こんな言葉を友達に投げられる事になったのかも分からない私は、近付いても良いのかな。
そんな馬鹿な事を考えながら、制服を握りしめる。紺色のダサいプリーツスカートにしわが寄って、慌てて離した。
何も言わない私に苛立ったようで、勢いよく肩をぶつけながら横を通り過ぎていく。運動部に所属する彼らとは違って、私は運動とは無縁の文化部の所属だ。耐えられずに尻もちをついてしまう。
何時もならどんくさいなと笑って手を差し伸べてくれていた友達は、馬鹿にしたように笑って行ってしまった。
本当に訳が分からない。
昨日までは何時もと変わらずに接してくれて。笑いかけてくれて。それなのに。
ぐっと唇を噛み締めて、立ち上がる。スカートについてしまった埃を払って、自分の席に座った。
落ち着く為に本でも読んでいようと、机の横にかけた鞄に伸ばした手より先に、鞄が宙へ浮く。
のろのろと顔を上げた先には、嫌な笑い方をした女の子達。
にやにや。にたにた。
笑っているのに、怖かった。
だから話したくないし、ここから逃げ出したいのに。女の子達は私の机を囲んで口を開いた。
「ブスのくせに調子乗るからぼっちになっちゃうんだよぉ」
興奮のせいか、声を上ずらせた女の子が、鞄を投げつけてくる。受け止められなかった鞄が床に落ちた。
本とリップクリームが転がり出てきて。一人の女の子が、まるで汚いモノを持つ様にリップクリームを摘まみ上げる。
「わっ、ブスのくせにこんなの持ってんの? キモいんですけど~」
「きたなぁい。捨てちゃお捨てちゃお!」
何が楽しいのか。笑っていて。そのまま、お気に入りの甘い匂いのするリップクリームが放物線を描いて、ゴミ箱に落ちた。
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