5人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
私はシングルマザーの家に育ち、母親が苦労して私を育ててくれていたのを見てきた。
だから、伴侶を得る、孫の顔を見せる、というのは最大の親孝行だと思っていた。
「……少し、あたまに血が上ってきた……」
おいおい、と服を着終えた江月くんが、私の身体を支えて、上下元の状態に戻してくれた。
「服着なよ。風邪ひくよ」
そう言って私の赤いパンティをベッドから持ってきた。
子どもを授かる縁起物の赤い下着。
それをまるで自分の保育園の児童のように、履かせてくれる。
「江月くん、ご飯食べて行かないの?」
「うん。このあと食べに行く約束してるから」
「そう……」
私は少し哀しくなる。
最初のコメントを投稿しよう!