せーしれーす

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☆ 生理がこない。 普通の学生にとってはヒヤヒヤすることだろうけれど、私にとっては嬉しいことだった。 大学4年の夏。今、お腹に命が宿っているとすれば、生まれるのは来年の春だ。 ちょうどいい。 大学卒業と同時に、結婚できる。 私はウキウキしながら、キャンパス内を闊歩していた。 「あっ、乙ちゃん。いいとこで会った」 次の講義の為に建物に入ろうとすると、細味で長い髪を揺らした子が駆け寄ってきた。 倉木さんだった。 「サークル以外で会うのも珍しいね」 学部が違う彼女とは、同じ講義になることはない。 「あのね、お菓子作ったの。味見してもらってもいいかな」 倉木さんは肩掛けの鞄から、可愛らしい箱を取り出した。 開けるとそこには、色とりどりのお菓子。 「これってマカロン? 自分で作ったの?」
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