5人が本棚に入れています
本棚に追加
「たまたま江月さんが来たから、いっそ言ってしまおうと思って」
彼女の顔はぷくぷく、つやつやしている。
江月くんが来たから? 何のこと?
私は胸が騒めくのを覚えた。
「私、玉川風香、この度妊娠いたしました!」
その場に会した10名ほどのサークル員たちがざわっとする。
「え? ぶー香が妊娠?」
「まじか」
「誰の子よ」
ふふん、と鼻を鳴らして、ちょこんと立っていた江月くんの腕に絡みつく。
「江月さん、できちゃった。病院にも行ったの。今三カ月だって」
私は混乱したまま、流れる状況を見ていた。
「風香! よかった! きみなら元気な赤ちゃん産めるよ!」
感極まったとばかりに、江月くんはぶー香の肉体を抱きしめる。
ちょっと、どういうこと!? ……と、私は声を飛ばそうとした。
「ちょっと、どういうこと!?」
音になった台詞は私のものじゃなかった。
倉木さんだった。
彼女はぶー香から江月くんを離し、胸倉を掴んだ。
「二股? 私たちつきあってるんじゃなかったの!?」
最初のコメントを投稿しよう!