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やった弘さん!浜口さんに好印象持たれてるよあなた!
そう喜んだのはほんの一瞬だった。
次には胸がざわついたのだ。
今すぐ弘さんの腕を掴んでお店を出ていきたいような、浜口さんと弘さんの間に飛び込んで会話を妨害したいような、妙な苛立ちすら覚える。
「クンツァイトって自分自身に邪気を取り込んで浄化する作用があるからこまめに石も浄化する必要があるんですよ。購入されたその石の浄化は大丈夫ですか?」
「え、そう、なんですか。知らなかったです。浄化って、ど、どうやってやるんですか?」
「いろんな方法がありますよ。太陽光や月光を浴びせる方法とか、お塩を使う方法とか」
浄化方法についてあれこれ説明する浜口さんへ、弘さんがやっと顔を向けると、両方の横顔が見えた。
なんだか、お似合いじゃないですか。
私の出る幕が完全にないことを察すると、また妙な苛立ちがむくむくと存在を主張してくる。
あれれ。どうしちゃったんだろう私。この胸騒ぎはなんだろう。この苛立ちや、焦燥感はなんだろう。
タイガーアイ様の恩恵をタダでもらおうと、右手はせっせと原石を撫でながら、胸を占めるモヤモヤ感の正体を考える。
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