★サードミッション

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 僕を追い出したい家族により、しょうがなく戸籍上の妻になった中田ひな乃という人は、明るくていつも笑っていて料理も上手だが、少し奇人だ。  十五年も引きこもっていたから人との関わりが少ないが、そんな僕でも彼女が妙な人間であることはわかった。  何が妙かというとその一つは、こんな僕に優しくし、そして応援し励ますこと。  過去に六回お見合いをした際のお嬢様方は僕を見て、うげぇ無理ぃという目を向け、引きこもりニートとかあり得ないという態度をしてきたが、彼女は違った。  ありのままの僕を見てくれていたように思う。  巧みな話術と(エロ)で童貞を操る魔女みたいなところはあるが、それでも結果を見れば良い方向に動いているのは自分でわかるし、僕も未知なるおっぱい様と戯れるご褒美もあった。  だから表には出さないけど、僕は仮の妻に感謝している。  そして彼女が所持するおっぱい様にも感謝している。  彼女の胸は僕が今まで密かに拝見させていただいた如何なるいかがわしい類いの写真や動画のそれよりも綺麗で、あ、あああ…、お、思い出すだけで、あああ…。 「うっ…」  思わず声が漏れてしまった。  股間がキュインとなってしまって歩きを止めてしまうと、仮の妻が「弘さん?」と振り向いてくる。 「な、なんでもない」 「え?」  首を傾げつつ、その視線が下を向いてくる。  うわあああ、見ないでくれ。僕のキュインを見ないでくれーっ。 「あ、大根?」 「えっ、だ、大根?」  この人よく大根って言うけどなんなんだ。
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