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最近はゲーム配信のコインを投げるシステムでいくらか稼いだ。
仕事と呼ぶレベルではないかもしれないが、一応稼いだし僕自身もあれは自分の仕事だと思える。
何より、やっていて楽しい。
「ゲーム配信をやってます。あの、…まだフォロワーも七十人だけなんですけど」
すると彼女は、二秒程反応を遅らせた後「へぇ意外です」と言った。
「ゲーム配信で稼げるものなんですね」
「はい。…まだ2,500円しか稼げてないんですけどね」
「ああ。やっぱそういうものですよね。配信って難しそうです」
期待していた反応と違った。
仮の妻のように、すごーいっ、等という言葉を僕は期待してしまっていたんだ。
きっとこれが一般的な反応だろうに、仮の妻がいつも大袈裟なくらい褒めてくれるから感覚が麻痺してたのかもしれない。
仮の妻はフォロワー数がたったの六十三人だけでもすごいすごいと瞳を輝かせてくれた。
2,500円稼いだと言ったら飛び跳ねていた。
弘さん頑張ってるなぁと呟いた言葉は妙に気持ちよくて嬉しかった。
それだけではない。
仮の妻はいつだって僕を褒めてくれる。僕の話を聞いてくれるし関心を示してくれる。
おっぱい様も触らせてくれた。性の経験値も上げさせてくれた。
「ちなみに弘光さんって今誰かお付き合いしてる人いるんですか?」
「え?」
「ちょっと、…気になっちゃって」
浜口さんの頬に赤みがさした。
三十一歳童貞でもわかる。これは、僕にもチャンスがあるという顕れ。
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