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★超恋愛マスター
帰宅して玄関を閉めると、廊下の向こうから「弘さーん?おかえりー」と仮の妻の声が聞こえてきた。
ただいま!と声を張って答えたい気持ちが何故か降って湧いたが、普段そんなことしない僕は、やはり黙ったまま廊下を進む。
ドアを開けた右側にある台所へ顔を向けると、夕飯の準備中なのかキュウリを持っている仮の妻と目が合った。
途端に僕の胸は安心感に包まれる。
家に帰ったんだな、という、そんな気持ち。
「どうだった?」
しかし仮の妻がニヤッと笑う顔を浮かべるや、今度は脈拍が飛び、咄嗟に視線を逸らす。
「ま、まあ、ふ、普通」
「普通ってなに?えっ、ちょっと。弘さーん?」
猛烈な緊張感に襲われ僕は寝室に逃げだした。
いつもは顔を合わせることはなんてこともなくて、もう慣れた存在なのに、急に何かがいつもと違う。
それから僕はゲームに没頭した。
没頭しなくてはいけないと思った。
没頭して思考を止めたかった。
考えてしまうと何かが変わってしまうような、そんな怖さを覚えたからだった。
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