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ダンジョンのラスボスにぐっちょぐちょのめっためたに惨殺されゲームアウトになり、ヘッドホンを外しながら「うわーくそー、うわぁ、あのヤロゥ…」とぼやいていると、仮の妻がドアを叩いた。
「弘さーん、ご飯できたよー」
ずっと黙っていると飛び込んでくることを知っているので、僕は急いでドアを開けて、ダイニングテーブルに座る。
並んでいたのはグラタンとサラダだった。
いただきます、と合掌する仮の妻に合わせて僕も頭を一応下げるが、視線はどうしても合わせられない。
合わせたいのにできない。
どうしたどうした。
どうして僕は今になって彼女の存在をこんなにも意識しているんだ。
「ねえ弘さん」
「は、はい」
「浜口さんとちゃんと話せた?」
「…まあ、一応」
「何か進展あった?」
仮の妻の何かを期待するような目を見てしまうと、どういうわけか胸が痛む。
だが、肺に不調でもあるのだろうと構わずマカロニを咀嚼して飲み込む。
「今日は、お茶に誘われて、喫茶店に行ってきた」
「ええっ!?ほ、本当?」
信じられない、といったような表情をするその裏で、一体どんなことを思っているのかひどく気になった。
よっしゃー、って喜んでいたらどうしよう。
…どうしよう?
…どうしようってなんだ。
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