★超恋愛マスター

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 仮の妻は僕の隣にそっと腰を降ろし、ややあってから顔を覗き込んできた。 「弘さん?何かあった?」 「…別に、何も」 「浜口さんとのことで何か不安なことでもあるの?」 「そ、そういうわけじゃ…」 「心配しなくても大丈夫だよ。弘さんは弘さんらしくしてるだけで魅力がある人だから」  僕は拳を強く握った。  励ましてくれる言葉はありがたいが、はやく僕と離れたいという心理がそこに含まれているんだと思うと苦しくて、辛くて、イラつく。 「時間はもしかしたらかかるかもしれないけど、きっと浜口さんもすぐに弘さんに惹かれると思うよ。ね?」  上目遣いの瞳と視線が絡んだ途端、心の牢に閉じ込めていた感情が大暴れして脱獄した。  僕は衝動的に仮の妻を押し倒した。 「っわ!ちょ、ちょっと。どうしたのっ?」  突然のことで仮の妻は驚いた様子だが、僕も自分がどうしたのかわからない。  視線は左右に広がる髪や白い首と鎖骨に流れ、浮き出る二つの山で止まる。 「ひ、弘さん?」  仮の妻には珍しいどこか怯えたような声を聞くや、僕の感情がまた暴れ、それが手を動かした。  迷いなく触ってしまったのは仮の妻の右胸だった。  まるで発酵したパンを捏ねた時のような(捏ねたことはないが)柔らかさに体が震え、男としての欲がさらに刺激されると、次には強烈なビンタを頬に食らった。  本当に強烈な痛さと強さで頭部が吹っ飛ぶかと思ったが、僕を覚醒させるには丁度いいものだった。  慌てて仮の妻を見ると、顔を真っ赤にさせて僕を睨んでいる。  頭に血が上ってカンカンに怒ってる様子に、僕の一物までもが縮んだかもしれない。
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