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西条さんは美容院のすぐ隣にあるお洒落の最上級と呼べそうなカフェに僕を誘った。
注文したレモンティーをズコズコ飲みつつも、僕は仮の妻への気持ちを、浜口さんのところへ通い始めた辺りから順を追って説明した。
モゾモゾ話す僕を時々ラテを飲みながらも親身になって聞いてくださる西条さん。
容姿もかっこいいし、こんな僕の話をじっくり聞いてくれるし、時々目が合うとにこりと笑うので、僕が女性だったら多分もう恋に落ちてる。
いや、もしかすると僕が仮の妻を想っていなかったらこのお方に心を奪われていたかもしれない。
それとも僕は優しくされたらすぐ恋に落ちる体質なのか。そんな気もしなくもないが…。
と、とにかく、超恋愛マスターはすごい…。
「なるほど、そんなことがあったんだ」
「はい…」
「気持ちに気づいたはいいけど、どうしていいかわからないんだね」
「は、はい…」
「でも大丈夫だよ弘光君。僕が君にとても為になる話をしてあげるよ」
「は、はいっ」
僕は鞄に入れていたメモ帳とペンを取り出した。超恋愛マスターの助言、一言も漏らさず書き残すつもりだ。
西条さんはラテを一口飲んでから口を切った。
「弘光君はとてもラッキーなんだよ」
「え?」
「だって恋の相手は君の奥さんなんだよ?つまり、大抵のことは合法。許されるんだ」
超恋愛マスターの放つ言葉は凡人、いや、童貞の僕には理解ができない。
ノートに書き残すつもりだったのに、早速手が止まってしまった。
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