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「あのひとつお聞きしたいのですが。結婚したあとは、弘光さんは当然今のお仕事を続けるんですよね?常務取締役補佐を」
「ああ、それはもちろんそのつもりだよ」
それはつまり、働かなくてもお金を得ている、という今のニート状態を続けられるということで間違いないですね?収入の安定は保証されているんですね社長!
よーし決めた。あたしゃ決めたよ!
父に顔を向けると、不安げな目を向けられていた。
社長の手前お見合いだけはするけど少しでも嫌だと思ったら断っていいんだぞ、お前の人生なんだから。
そう言ってくれた父の言葉を思い出した。
心配しないでお父さん。
これは私が私の為に下した私による決断だから。
「私、中田ひな乃、この結婚謹んでお受けいたします!」
高らかな声が、和室に響いたのだった。
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