★看病

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 ところがだ。  シャワーを済ませて出てみると、仮の妻の様子がやはりおかしいことに気づいたのだ。  同じ体勢でソファーにうつ伏せで寝ころんでいるのだが、全体的に弱ってるように見えるし、頬には赤みがさしているが力が抜けたような顔をしている。 「あの…、大丈夫?」 「ああ、うん…。大丈夫だよ」 「いや…、大丈夫の顔じゃない。ちょっと、待ってて」  急いで体温計を渡して測るように言うと、「大丈夫だって」と苦笑してくるから、「測ってください」と強要してしまった。  なんとか熱を測ってもらうと38.4の熱が出ていた。僕は慌てて仮の妻に布団に入るように言ったが、彼女は立ち上がって歩きながら「大丈夫、大丈夫」と取り合ってくれない。 「薬飲んで寝て」 「薬は飲むけど寝なくても大丈夫だよ」 「大丈夫じゃないって。フラフラしてる」 「してるかもしれないけど家事とかご飯とかつくらなきゃだし」 「それは僕が全部やるからひな乃さんは寝て!」  やや強めの口調で言ってしまうと、仮の妻は驚いたような顔をしてくる。 「弘さん、今…」 「あ、ご、ごめん」 「いや、…私の名前を」 「えっ。ひな乃さんで合ってるよね…?」 「うん…、合ってはいるんだけど、その…このタイミングでっていうか」  言いながら益々頬の赤みが増すので、熱がどんどん上がっているんだなと心配になってくる。 「とにかく、今日はもう何もしなくていいから寝てください」 「う、うん…」  やはり無理していたのか、仮の妻は大人しく物置部屋に歩いて行った。
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