★生配信

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「告白できたなら良かったじゃないか!」  スマホのスクリーンに映る超恋愛マスターはまるで自分のことのように喜んでくれたが、僕の背中はますます丸くなるばかりだった。  翌日の昼前、仮の妻の看病をしたいのにどんな顔して部屋に行けばいいかわからなくて、僕は西条さんに助けを求めるメールを送っていた。  返信を待っていたのに突然ビデオコールを受信したので驚いたが、実際に西条さんの顔を見ると頼もし過ぎて安堵したのだから、彼から放たれるオーラはこの世を生きる童貞を救ってくれている気がする。 「でも抱擁する必要はなかったし、口も塞いでしまったし…。絶対気持ち悪がられてますよ…」 「いやいや、むしろ良くやったよ。これで遠慮がいらなくなったってわけだ」 「遠慮?」 「好きだって伝えたんだから、あとはもう自由にやっちゃっていいんだよ。好きな時にハグして好きな時にキスするんだ」 「キ、キスッ!?だ、だめですよ!いきなりキスなんかしたら絶対怒るじゃないですか!」 「怒られたって構わないさ。だって奥さんなんだよ?逮捕にはならないよ」 「逮捕されるされないの問題じゃないと思う…んですけど」 「いや、逮捕されるされないの問題だよ」  堂々と言い切った超恋愛マスターだが、僕は段々とこの人危ない人なんじゃないだろうかと不安を覚えてきた。  いくら戸籍上の夫であっても、僕みたいな奴に、ましてや離婚したいと思ってる相手からキスなんてされたら不快に思うに違いない。  だいたい、逮捕されるされない以前に僕自身がキスをする勇気と余裕と、そして経験がない。 「とにかく、絶対逮捕されないから思い切って唇を奪ってごらん。応援してるよ」  バイバイ、と手を振る西条さんを、この人本当に真の恋愛マスターなんだろうかと漠然とした疑問を抱きながら、僕はビデオコールを終わらせた。
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