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仮の妻の様子が気になるが、やっぱり顔を合わせられない僕は、コンビニで買ったリンゴジュースやゼリーなどをドアの隙間から中に入れて置いておいた。
看病と呼ぶにはあまりにも雑で思いやりに欠けるが、知ってると思うが僕は童貞に加えてチキンでもあり、故に度胸がなかった。
それから僕はゲームの生配信を始めていた。
リクエストがあったゲームをやり進めていたのだが、物置部屋の様子が気になるあまり、ゲーム実況よりも仮の妻の話ばかりをしてしまっている。
「超恋愛マスターは逮捕されないからキスすればいいとか言うんですけど、僕には絶対無理なんですよ…。本当に何やっちゃったんですかね僕は。…どうしたらいいかわからないです」
もはやゲーム実況ではなく童貞の恋のお悩み相談室と化してしまっているが、視聴者の反応が意外にも悪くない。
むしろコメント欄は『キスしちゃえよ!』『大丈夫だって逮捕されないんだから』などの書き込みが多く寄せられ大変盛り上がっている。
「ダメですよみなさん…。逮捕されなかったら何をしてもいいわけじゃないですよ…」
そう零しながらキャラクターの操作をしていると、突然背後にある部屋のドアがもの凄い勢いで開け放たれた。
「ふっかーっつ!」
驚愕して後ろを振り向くと、両手を広げた仮の妻が立っていた。
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