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「弘さん?弘さーん?」と僕を呼び、ペチペチと頬を叩いてくるが、僕は暫く起きることができなかったので、仮の妻は童貞を殺してしまったと思ったようで部屋を出て行ってしまった。
香ばしい香りがしてきたところでやっと意識がしっかりしてきた。この匂いはきっとあれだ。仮の妻がお昼ご飯でも調理しているのだろう。
先ほどのやり取りが鮮明に思い出されて体中が震えてくるが、なんとか立ち上がってパソコンの前に座り、生配信を急いで切った。
コメント欄が荒れているようなのでスクロールしてみると、僕はやってしまったんだと気づいて頭を抱えた。
僕の着ているシャツにはマイクが付いたままだったのだ。つまり仮の妻が僕を押し倒し童貞の卒業うんたらかんたら等、全てが視聴者に聞かれていたのだ。
『仮の妻最高だよ!』
『襲えっ!服を脱がせ!』
『無理矢理でもいいから卒業させてやってくれ!頼む!』
『そのままやってしまえ!大丈夫逮捕はされない!』
というような内容で大変賑わっていたようだしコインもどえらい量を投げて頂いたみたいだが、僕は恥ずかしさでただただ悶えていた。
その翌日、その事故配信は何故かネットニュースで取り上げられてしまい、僕は一時期時の人となり、配信のフォロワー数は劇的に増えたのだった。
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