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★本当の夫婦
それから一週間が経ったある日の夕方、生配信を終わらせた僕は一人考えていた。
何を考えているかというと、それが将来のことだった。
今さえ楽しければいい、と未来のことなど無関心で期待もなかった僕が、真剣に将来を考えるなんてまるで自分が別人のように思う。
いや、実際見た目も行動もここでの暮らしを始めてから別人のように変わった。
それは全て、仮の妻、いや、ひな乃さんのお陰だ。
僕はキングサイズベッドへ顔を向けた。
白いカバーを被せた僕の枕の横には、ピンクのカバーを被せたひな乃さんの枕がある。
体調が戻ってから彼女はこの部屋で寝ている。
僕が、そう提案した。
窮屈な思いをしてほしくないという理由でそう提案したのだが、実際にその日一緒に横になった瞬間、僕はとんでもないことをしてしまったんだと思い出した。
隣に好きな女性が寝ている状態でスヤスヤ安眠などできるわけがないし、ひな乃さんもひな乃さんでもうなんというか、獲物を狙う狩人のような目つきで僕を見つめるので、ヤラれる…という緊張感があった。
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