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実際に僕は毎晩誘われているのだ。
「ねえ弘さん?今日は覚悟できた?そろそろ卒業しちゃおうよ」
「い、いや、僕はっ、えっと、えっと」
「ちょっとでもいいんだよ。ゆっくりゆっくり。ね?」
艶めかしく囁いて僕のへそ辺りを指先で撫でてくるというようなやり取りをするのだが、毎度僕が「うあああぁぁっ……っ」と叫んで失神し、そのまま朝まで眠るパターンになっているので、つまり僕はいまだに安定の童貞だった。
昨晩は特にすごかった。
ひな乃さんは急に僕の上に跨り、「ねえ弘さん。今日はいいでしょ?先っぽだけでもいいから」とせがんできた。
あまりの色気とエロチシズム、そして過激な台詞に僕は興奮すると同時に脳が大爆発した。
そしてそんな僕を見て彼女はケラケラ笑うのだ。完全に遊ばれている。
なんか悔しい。
余裕なひな乃さんを押し倒して『もう許さないよ』と甘く囁きテクニシャンな手つきであんなことやこんなことをして彼女を溶かし『ごめんなさいっ、も許してぇっ』とか言わせてみたいけど、本当に悔しいことにレベルが足りなさすぎるっ!!!!!
僕は自分の不甲斐なさに溜息を吐出し、そして寝室から出て行った。
ひな乃さんは台所の掃除をしていた。
毎夜失神してしまう僕なのに、彼女はいつだって笑顔を向けてくれる。
「ひな乃さん、ちょっと、いい?」
急にどうしたという風に驚いた表情をしていたが、すぐにニコニコしながら僕が立っているダイニングテーブルのそばにやって来た。
「なに~?」
「とりあえず、座って」
「うん」
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