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いつの間にか僕はまた俯いていた。すぐ顔を下に向けてしまう癖は簡単にはなくならない。
テーブルに乗せている両手を見ながら、もしかしたら仕送りを止めることを反対されるんじゃないかと不安に思っていると、白い手が伸びてきて、僕の手を包んだ。
「弘さん、いいと思う」
「え?」
「弘さんが自分を信じて進みたい道ができたなら、私はすごく嬉しいしそこに進む弘さんを支えたいよ」
「でも…安定した生活がなくなるかもしれないんだよ?」
「大丈夫!」
はち切れんばかりの笑顔を浮かべたひな乃さんは、腕に輝く天然石のブレスレットを僕に見せつけてきた。
「この金運爆上がりブレスレットもあるし、弘さんがくれたタイガーアイ様の原石もあるから、絶対的にお金の安定は信じちゃっていいと思うの!」
「そ、そうなの…?」
僕は石の力というものは信じていないのだが、ひな乃さんがここまで堂々とはっきり言い切ると、疑心が若干薄れて、なら大丈夫かなと思えるのだから、もしかすると僕は怪しい壺を勧められたらすぐ買っちゃうタイプかもしれない。
いや、そうじゃなくて、僕はきっとひな乃さんの言葉だから信じられるんだ。
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