★本当の夫婦

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「でもね弘さん。このブレスレットや石がなくてもね、例え収入が少なくても、私は弘さんと一緒ならどんな状況も楽しんで生きていけると思うんだよ?」 「ひな乃さん…」 「私は確かにお金が好きでね、小さい時から友達と遊ぶより自動販売機の下に落ちてる小銭をかき集める方が好きな子だったし、玉の輿に乗りたいってずっと夢見てた。だから一生金の亡者ではあると思うの。でもね、私が弘さんと一緒に居る理由はもうお金じゃない。私が弘さんと居たいから。ずっと、楽しいことも辛いことも、平凡なことでも、激しいことでも、弘さんと一緒にやっていきたいの」  ひな乃さんは僕の指に自らの指を絡め、ぎゅっと握ってくれる。 「私の大好きな弘さんが自分を好きになりたいとか、信じたいって理由で動くなら、私はそれを応援したいよ。大丈夫、なんとかなるし、弘さんはできる」  不安など一切ないような笑顔に僕の涙腺が刺激された。  この人は優しすぎる。ちょっと変態気質があるところなんて全然気にならないくらい、いやそれもむしろ良い部分で、優しくて温かくて活発で、愛おしくて大好きだ。 「ひな乃さん…、ありがとう」 「うん」
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