お見合い相手はもじゃもじゃニート

妻の閃き

　早速私はダイエットプランを練り上げた。
　あまりその手の知識はないので動画サイトで効率のいいダイエットをテーマとしたものいくつも視聴して、弘さん専用の計画を作り上げたのだ。

　ところがどっこい。
　わかってはいたけど、弘さんが協力的ではなかった。

　夕食を部屋に運んだ時、「明日からダイエットしない？」と訊いてみたところ、いきなり憤怒の形相を浮かべ「しない！僕の体重に口出しするな！」と啖呵まで切られたのだ。
　あのキレっぷりは相当なものだ。死んでもやるかボケが伝わってきた。

　そういうわけで、折角プランはあるというのに、どう実行させようかと私は悩んでいた。

　そんなある日の夕方。
　音楽を聴きながら洗面所を掃除していた私は、ちょっとした動作でワイヤレスイヤホンを落としてしまった。
　コロコロッと吸い込まれるようにして洗濯機と乾燥機の間に入ってしまい、箒の柄を使って取ろうとしても引っかかっていて取れない。

　高かったので何としてでも取り戻したい。
　そこで私は弘さんに助けを乞うことにした。