妻の閃き

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「減ったじゃん!すごい!頑張ったね弘さん」    とりあえず、感慨深いものもあったので大げさに喜んでしまうと、彼は気まずそうにして俯く。  きっと頭の中ではおっぱいのことしか考えてないと思う。  も、揉めちゃう!?揉めるんだよね!?はぁはぁ、という感じで。 「約束だから。いいよ、揉んでも」 穏やかな声を出すと、弘さんの肩がビクッと揺れた。 「も、揉まない!」  この期に及んでまだそんなことを…。  呆れた気持ちにもなって、ここは背中を押してあげようと弘さんの手首を両手で掴む。 「な、何するんだ!」 「いいからいいから。さ、揉んじゃいなさい」 「いやだ!やめろ!」  といいつつ、右胸へと運ばれる動きに抵抗しないんだから。 「さあどうぞ」 「触らないっ!」  一体どんなプライドが働いているんだろう。  ここまで手を運ばせちゃったのだから、あとは一思いに揉めばいいのに。  ゆっくりと胸へ引き寄せると、彼は最後の抵抗とばかりに指をしならせ限界のパーを作り上げる。  そして実際に手の平が胸に触れても揉むことはなかった。  一回押した、という感じ。  実にあっけない。  しかし童貞君には史上稀なる経験だったのか、声にもならない悲鳴を喉の奥で鳴らしたかと思えば、膝から崩れ落ちた。  事実上彼はおっぱいに屈したのだ。  私はそれを見て満足気に微笑み、うんうんと頷く。  最後に弘さんの耳元に口を寄せ「10キロ痩せたら、両胸揉んでいいんだよ?」と甘く囁き、洗面所を出て行ったのであった。
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