全部消えた

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「い、いいの?」 「いいんだよ。ほら」  ゴキュン…と唾を飲む音が聞こえてから数秒、背中に指先が触れた。  絶対湿った手をしてると思ってたのに、弘さんの指は意外にも乾いていて温かい。  やはりフックを外したことなど一度もないようで、奮闘している様子が指から伝わり、なんとも微笑ましい。頑張れ童貞。 「あ、できた…」  バストの解放感を覚えると、遂に生で触らせるのかとやっと実感が湧いてくる。  ゆっくり弘さんの方へ向き直すと、私を見ていた弘さんは慌てて俯いた。  今頃恥ずかしがっちゃって。  さっきの威勢はどこにいった。  だけど個人的に恥じらう成人男性が非常に好みなので、それでよいぞ、それでよいんだよ夫よ。 「あ。ちなみに見せる約束はしてないから裾から手を入れて触ってね」  弘さんは下を向いたまま、黙って頷いた。 「じゃあ、一分ね」  スマホのタイマーをセットして、「いい?」と訊くと「うん」と気弱そうな声が返ってくるが、きっと体内のいろんな所は興奮し滾っているのだろう。  さあ来い、童貞よ。君のその大きい手で神秘の山に触れるがいい。  妙な高鳴りを覚えつつも、スタートボタンを押した。 「はい、どうぞ」  その合図の二秒後、躊躇するような動きではあったが、弘さんの片腕はゆっくりと私のピンク色のTシャツの中に下から侵入してきた。
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