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何分かすると、お互い落ち着いてきた。
弘さんは気まずそうに座り直し、さっきまで暴れていた手の平を見つめている。
童貞くん放心しちゃってるんだな、と微笑ましくなって、顔を覗き込む。
「どうだった?ちょっと刺激が強すぎちゃった?」
声を抑えきれない程私も刺激にやられていたが、そんなものおくびにも出さず性の先輩らしい余裕の笑顔を向けると、弘さんが顔を向けた。
「…さっきなんか言ってたよね?」
「え?」
「安全ピンとか、安全保障条約とか」
き、聞いてたか!
「あ、あれはね。あれなの。あのね、スーパーでね、今度暗記のテストがあって。おさらいしてたの」
「えっ。スーパーマーケットの仕事ってそんなことするの?」
「するんだよ。常識だよ」
苦しい嘘をついたが、十五年も引きこもっていたお金持ちのぼんぼんは世間知らずの節があるらしい。「そうなんだ」と信じ込んでしまった。
「あの…」
「ん?何?」
「…今度は何?」
はい出ました。もう出ました。
何をすればどんなエロご褒美くれるの?が出ましたよ。
貪欲だな夫は。
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