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私はしばらく考えて、次のミッションを口にした。
「今度は筋トレ。その脂肪を筋肉に変えるの。一ヶ月続けられたら…」
「られたら…?」
「私の胸、見せてあげる」
弘さんを刮目し、生唾を飲み、天井を見上げた後、嚙みしめるように「わかった…」と呟いた。
その脳裏に何を思い描いているか、まるで弘さんの頭の中を覗いているかのようにわかる。
たわわな乳だろう。そうだろう。
だが夫よ。君が密かにやってるあの腕立て伏せじゃ足りないぞ。
弘さんの為に筋トレプランでも考えなきゃいけないなぁと思っていた私だが、おっぱいに屈した男がいかに絶対服従になるか、この時はまだ知らなかった。
その翌日、宅配が来た。
なんだろうと玄関へ向かっていると、寝室のドアが勢いよく開き、弘さんが飛び出す。
私を追い抜き、玄関のドアを開けると、そこには数人の宅配のお兄さん。
「…寝室までお願いします」
俯きながらも弘さんが言うと、彼らは複数の段ボール箱を次から次へと寝室に運んでいった。
新しいゲーム機でも買ったのだろうか。
そう思いつつ、宅配のお兄さん達が帰ってから寝室へ行き、私は目を丸めた。
弘さんがせっせと本格的な筋トレ器具を組み立てている。
信じられない光景だった。
当初は死んでも運動するかボケの構えを持っていた弘さんが、今や筋肉を育てようと逸早く行動している。
私は自分の胸が恐ろしかった。
十五年も引きこもりゲームに明け暮れていた成人男性を、おっぱいの為ならなんでもするおっぱい狂いにしてしまったんだ…。
ところでよく考えてみると、胸を見せるって触らせるよりことよりも簡単じゃないだろうか。
普通、見せた後に触らせるってパターンが常識的ではないだろうか…?
あれ、報酬の代価が、下がっていないか…?
い、いいのか…?とモヤモヤしてしまったが、弘さんが鼻歌を歌いながら組み立てているのでよしとしよう。
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