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妻の新たなる閃き
「弘さん、夕食できたよ」
十九時過ぎ。ドアをノックすると、弘さんがすぐに出てきた。
散髪したことを知ってるはずなのに、モジャモジャヘアーじゃない弘さんを見た途端目を見開いてしまう。
そしてにやけてしまった。
いやだって、わての夫かっこええやないかい、と頬が緩んでしまうのだ。
これで体が引き締まったらもっとかっこよくなるんだぞ?やばくないか?
この対価の為なら胸の一つや二つ何回だって見せて差し上げますよ、と神秘なる乳山の所有者である私は思いながら、弘さんと一緒にテーブルの椅子に腰を降ろした。
ダイニングテーブルに並ぶ今夜の献立は、ご飯とみそ汁、サバの味噌煮、そして手作り胡麻ドレッシングのサラダ。
西条さんが弘さんをカットしてくださっている間にじっくりコトコト煮込んだサバは、味噌ダレが染み込んでいて完璧な美味しさ。
料理上手な妻を得てよかったなぁ夫よ、と弘さんへ目を向けると、俯きながらもきちんと咀嚼して食べている。
猫背がちょっと気になるが、それでも髪型を変えた弘さんはやはり素敵だ。
100ポイントどころかこりゃ300ポイントだぞ。
ニヤけながら熟視していると、視線に気づいた弘さんに「なんで笑ってるの…?」と怪しむような口調で訊かれた。
「ううん。弘さん随分とかっこよくなったなぁって思って」
正直に言ったのに、弘さんは俯いて黙ってしまう。
妻はこれを照れと解釈しておくよ。
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