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「じゃあ弘さんは今の引きこもりニート状態に満足してるの?」
その問いに、長い間をあけてから「多分、そうなんじゃない?」と他人事のような返答が帰ってくる。
「僕が働いていてもニートでも、別に何も変わらないよ。誰も期待はしないし、実際に僕はみんなが言う通り何もできない人間だから」
私自身は、弘さんがこういう状況になったおかげで玉の輿に乗れたわけだからなんとも言えない立場だ。
生活力のない弘さんの世話をするために一ノ瀬一家からお金をもらって結婚したのだから、むしろ弘さんがニートになる選択をしてくれてありがとよ!と感謝する立場かもしれない。
自信をなくして、全てがどうでもよくなったからこそ、弘さんは引きこもってニートになったから、今がある。
でも、弘さんが自分を卑下する言葉は聞きたくなかった。
弘さんは自信を持つべきなんだと心が妙な熱さを覚えてしまう。
「そんなことない。弘さんは何もできない人じゃない。頑張ってるじゃん。頑張ったからこんなに変われたんだよ?ここに住む前の弘さんと今の弘さん、全然違うよ?自分の努力で変われたんだよ?」
感情的に声を出した私に面食らった様子だが、すぐにバツが悪そうに俯く弘さん。
「だ、だってそれは、君が」
「そうよ!私が弘さんの目の前におっぱいをぶら下げたから男としての欲求に抗えなくてしょうがなく移した行動かもしれない!でも、きっかけが私のおっぱいでも、それを揉みたい気持ちだったとしても、自分を変えようとして努力したことは間違いないでしょ!」
こいつデカい声でなんてこと言ってんだっ、と夫が丸い目を向けてくるが、妻は事実しか言ってない。
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