妻の新たなる閃き

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「だって弘さんゲームのレベル神なんだし、そのずーっと聞いていても飽きない声でゲーム状況の説明とか配信したら爆発的に人気になっちゃうかもしれないよ?」 「そ、そんなことならない。別にこんな声たいしたことないんだし」 「人気にならなくてもいいのよ。新しい趣味として楽しむのもありだし」 「無理だよ」 「無理じゃない」 「無理!」  大声をお見舞いされたので狼狽えてしまったが、妻はまだ引き下がらない。  覚えておけ夫よ。しつこい、と書いて妻と読むんだよ。頭の中の辞書書き換えとけよ! 「あのね。嫌ならやらなくてもいいの。やりたくないこと無理にしなくてもいい。でもね、自分にはどうせできないから無理っていう理由なら、私は弘さんにその選択はしてほしくないの」  なんかいいこと言った気がする、と自分に酔いつつ弘さんの反応を待つが、空になったみそ汁のお椀の底を見つめたまま何も言ってくれない。 「やってみようよ弘さん。私も細かい設定とかいろいろ手伝うからさ。一緒に、どう?」  すると弘さんは徐に顔を上げ、ボソボソした小さな声で言った。 「したら何してくれるの?」  きえーーーーーーっ!?  ここで出すか!ここで出すのかエロ要求!  わなわなと震えてくるが、この童貞君をこのように育ててしまったのは私だ。だが育て方を間違えたかもしれない。  しかし、結局エロ対価を渡すことが一番効率良く物事が動くことは私も経験上熟知しているので、その要求を飲むことにした。  というか、最初からこうすればよかった気もする。
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