妻の新たなる閃き

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「じゃあ弘さん、何してほしいの?」 「えっ。僕が決めていいの?」 「いいよ」 「じゃあ…、み、水着着てください」 「あ。う、うん。いいよ」  どんな過激な要求をするんだろうと固唾を飲んだのに、想像以上に容易い要求だったので、呆気に取られてしまったが、まあ、そういうことになった。  妻は決してもっと過激なのが良かったなんて思っていませんよ。ええ、思っていませんとも。  早速物置部屋で一昨年買って一度も着ていない黒いビキニに着替え、弘さんが待つ寝室に行く。  パソコンの前に座っていた弘さんが私の姿を食い入るように見つめること五秒。 「えー、色っぽい?」とポージングを私が始めてしまうと、覚醒したようにパソコン画面に顔を向け、動画配信に向けての設定を爆速で始めてしまった。  最初は、ふふふ照れたな興奮したな、と微笑みながら後ろで様子を見ていたが、どうやら設定やらに集中してしまったのか後ろにビキニ美女がいることをまるで忘れてしまったように放置プレイされた。  タンタンタンとキーボートを打つ音だけが響く寝室で私はなんで一人水着で立ち尽くしてるのだろうと虚無を覚えたので、物置部屋に戻り着替えたのだった。
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