右に曲がった訳

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 スーパーの出入り口にあるベンチに座って待つこと数分。  我が夫がやってきた。  部屋着のスウェットから着替えていて、ネイビーカラーのスラックスに白いTシャツ(夫の服は全部妻が購入)スタイルは、とてもシンプルなのに、長身なのと脂肪が消えた効果があって、あらやだ弘さん、遠目で見てもかっこいいじゃないの。  我ながらとんでもねぇ原石を磨いたなぁと思う。 「来てくれてありがとう」  目の前まで来たところで立ち上がると、弘さんはマイバッグ二つとビニール袋二つにパンパンに入ってる購入品を一瞥する。 「なんでそんなに買ったの?」 「うん。わかんない」  てへへ、と笑って誤魔化すと、弘さんはビニール袋二つを両手で持って歩き始める。  私もマイバッグの方を両手に持って弘さんの背中を追った。  正直少し、顔を合わせることに対して緊張していた自分がいたのだが、実際に再会してみれば、胸を見せた時の気まずさは意外にもなくなっていた。  弘さんの態度にも、私の胸など一切見なかったかのような、いつもの様子がある。  そうだよ。何も動揺することなんてなかったじゃないか。  胸を夫に見せただけの話じゃないか。  そう考え直すと、次に気になるのはキャットフードをどうするかだった。  野良猫にでも寄付するか。でもこないだ威嚇されたしなぁ…。どうすっかなぁ。などと近所を縄張りにする猫たちを思い出していると、弘さんが左に曲がるべき角を右に曲がった
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