右に曲がった訳

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 またか!また右に曲がった! 「弘さんこっちだよ?」前回と同じように声をかけるが、やはり弘さんは私を無視しずんずんと突き進んでいく。    今日は放っておいて先に帰ろうかと思ったが、ふとエメラジョジョーンというあの天然石などを売るお店屋さんが脳裏に浮かぶ。  もしかしてあのお店を覗くために反対方向に曲がったのかな。  いや、そうだ。絶対そうだ。  私は勘は鋭いから間違いない。  気になってしまったので尾行することにした。  勘の通り、弘さんはエメラジョジョーンの横を通り過ぎる時だけゆっくりと歩き、中へ顔を向けている。  そして通り過ぎると早歩きに変わる。  前回と同じパターンだ。  私もエメラジョジョーン店内に顔を向けた。  前は人の姿がなかったが、今回はいた。黒髪ボブの若い女性。胸元に名札があるから多分店員さんだ。  弘さんは彼女を見に来たのだろうか?それとも天然石に興味があるのかな。  なんとなく私の勘は前者だと言ってくる。  あの人は弘さんと何か関係があるのだろうか。  つい立ち止まって彼女を見つめていると、視線に気づいたようで目が合ってしまった。咄嗟に笑顔で会釈して、あとはひたすら走って弘さんを追いかけた。
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