2662人が本棚に入れています
本棚に追加
またか!また右に曲がった!
「弘さんこっちだよ?」前回と同じように声をかけるが、やはり弘さんは私を無視しずんずんと突き進んでいく。
今日は放っておいて先に帰ろうかと思ったが、ふとエメラジョジョーンというあの天然石などを売るお店屋さんが脳裏に浮かぶ。
もしかしてあのお店を覗くために反対方向に曲がったのかな。
いや、そうだ。絶対そうだ。
私は勘は鋭いから間違いない。
気になってしまったので尾行することにした。
勘の通り、弘さんはエメラジョジョーンの横を通り過ぎる時だけゆっくりと歩き、中へ顔を向けている。
そして通り過ぎると早歩きに変わる。
前回と同じパターンだ。
私もエメラジョジョーン店内に顔を向けた。
前は人の姿がなかったが、今回はいた。黒髪ボブの若い女性。胸元に名札があるから多分店員さんだ。
弘さんは彼女を見に来たのだろうか?それとも天然石に興味があるのかな。
なんとなく私の勘は前者だと言ってくる。
あの人は弘さんと何か関係があるのだろうか。
つい立ち止まって彼女を見つめていると、視線に気づいたようで目が合ってしまった。咄嗟に笑顔で会釈して、あとはひたすら走って弘さんを追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!