右に曲がった訳

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「でも弘さん、わざわざ遠回りして見に行くくらいあの人のこと好きなんでしょ?」  ぐぐ、と益々背骨を丸めるので、困ったなぁと思いながらその大きな背中を撫でると、ビクッと体が揺れた。その反応である閃きが降りる。  まあ閃きというか、ただ単に、これエロ取引すれば早いんじゃね?と思い出しただけなのだけど。  とりあえず、弘さんの耳に口を寄せて、甘い声を意識して囁いた。 「弘さん。あの人とデートに行けたら、私の乳首吸わせてあげる」  その刹那、アルマジロは飛び上がり、まん丸に見開いた目を私の胸元に向けてきた。 「す、吸う!?」 「うん、吸うの。弘さんの口で私の」  言い終わる前に弘さんがソファーから転がり落ちた。頭から落ちてそのままゴロンと回って蹲っている。  落下した際の衝撃音も凄かったし唐突だったので唖然としたが、ややあってから私も弘さんの元へ行って「大丈夫?」と声をかける。  弘さんは蹲ったままコクコクコクと何度も頷いた。なんだか慌てた様子だ。  そして私は気づいてしまった。  弘さんが自分の股間を両手で押さえていることに。  おーっとこりゃあ、あれだねぇ。弘さんのお大根様が収穫期に入ったようだね。  勃っちゃったかい、と訊いてしまいたくなったが、ここはそっとしてあげるのが性の先輩としての優しさだと思う。  しかし今回提示した取引、童貞君にはちと刺激が強すぎただろうか。
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