お見合い相手はもじゃもじゃニート

ファーストチャレンジ

　やれやれと思いながらも私は呆然と出入り口を見ていた浜口さんに声をかけた。

「すみません。これください」

　にこやかな顔をする私が手に持っていたのは、やはり金運爆上げブレスレットだった。

　お会計を済ませ、袋に入れようとした浜口さんを止めて、早速左腕に装着させると、ダッシュでお店を出た。
　金運爆上げアイテムを身に着けているからなのか、力が漲ってくるようで、走っても走っても疲れない！アドレナリン！

　そして俯いて歩く弘さんの背中を無事発見した。

「弘さんっ！お疲れ様！すごいじゃん、できてたじゃん！」

　飛び込むように横に並ぶと、ギロリと睨まれた。

「できてないじゃん。変な挨拶になったじゃん」
「大丈夫だよ。ある意味印象に残る感じだったし、浜口さんも良さげな反応してたじゃん」

　本当のところは金運ブレスレットに気を取られて浜口さんの反応がどうだったかなんて全くわからないが、これだけのいい男に挨拶されたのだから悪い気はしなかったんじゃないかと、個人的に思う。