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どうして諦めて欲しくないかっていうと、それは弘さんが私にとって大切な人だからだ。
どうして大切かっていうと。
それは…。
えーっと。なんでだろう。あ、そうそう。育ててきたことによる愛着だ。
「ふーん…」
弘さんは呟いたっきり黙ってしまった。緊張しすぎて疲れたのだろうか。
「そういえば、ゲーム配信の方はどう?続いてる?」
「うん、まあ」
「フォロワー増えた?」
「今六十三人」
「えっ!?すごい!もうそんなにいるの?うわぁ、やったねぇ!」
人気の配信者に比べたら足元にも及ばないのだろうが、弘さんがコツコツ自分を表現しつつ続けているものに対して興味を持ってくれる存在が増えている事実だけで胸がいっぱいになる。
ほらね弘さん、弘さんのこと注目してくれる人はたくさんいるんだよ、と言いたくなったけど、恥ずかしがるだろうからやめておく。
恥ずかしがる成人男性はさっき十分見たのでお腹いっぱいです。
「弘さん頑張っててすごいなぁ。私も頑張らないと」
そう呟いたっきり、お互い無言になってしまって、家に着くまで一言も話さなかった。
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