プロローグ

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 その夜、エルザは1人戦地だった場所へと赴いていた。 「ごめんなさい……ごめんなさい……」  そう誰かに呟きながら、エルザはもう動かなくなった連合兵を、味方の帝国騎士の死体をかき集める。  そして、出来た山に向かって手を合わせる。  戦争での人殺しは、罪ではない。  しかし、殺しへの罪悪感が無いわけではないのだ。  それを、エルザは身をもって体験した。 「ごめんなさい……ごめんなさい……」  一体、誰に対する懺悔なのだろうか。  その懺悔は、ただ死体だけがいる戦場に、誰にも届くことなく消えていく。
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