23人が本棚に入れています
本棚に追加
まるで、固いもの……ちょっと軽くて、固い、……そうね、内部が空洞のプラスチック製のボールってあるじゃないですか、小さい子どもが野球のまねごとをするときに使うような軽いボールです。それをアスファルトに落っことしたような感じの音がしました。
カラスは電線から道路に舞い降りて、落とした黒いものを取りに戻るんですよ。で、また電線に舞い戻って再度落っことすんです。
一息に言い切って、彼女は大きく呼吸を整えた。
「ほう、面白いですね」と合いの手を入れると、彼女はこちらも見ずに、「あれ、オニクルミの実だったんですよ」と言った。
わたし、カラスが遊んでるのかな、と思って見てたんですけど、昔読んだ本の内容を思い出したんです。
カラスって固い殻のクルミを自分で割ることができないから、車の通る通りに運んでいって、道路上に置いて、車に轢かせて殻を割って食べるって話があるんですけど。
あれをまさにやろうとしてるのかと気づきました。
なかなか珍しい光景に出くわしたんだと知って……で、しばらく立ち止まって観察してました。
最初のコメントを投稿しよう!