2年後のふたり

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「なんだか子育てって感動の連続ですよね。 昨日はしなかったことも次の日にできたりす るから、すごい!って」 「ああ。 悠生が何か一つできる度に大喜びするから、 お祝いに近いのかもな」 「はい。 そうやって大きくなっていくんでしょうね。 ふふふ、楽しみですね」 愛也が、温かい紅茶を淹れたマグを口に運び ながら、ふんわり笑う。 結婚してからしみじみ実感したことがある。 これまで原動力は情熱だとか気持ちだとか、 あくまでも自分自身の感情がベースだった。 けれど。 人生を共に歩んでいくパートナーの存在と、 二人の愛の証でもある新しい家族の存在は、 それを180度変えて。 守るべきものができるということは幸せなこ とだと、教えてくれた。 だから、家族が毎日笑って過ごせるように。 夫として父親としてたくさんの感謝と愛情を 注いで、これからも大切に育んでいきたい。 「今日、愛也が好きなチョコレートプリン、 お土産に買って帰るね」 片手で、緩くまとめ髪にした頭にぽんぽんと 触れて、口元を緩める。 すると、妻は「ありがとうございます」と、 嬉しそうにほほえんで。 暖かい日差しでほんわかした室内の空気を、 よりハッピーにほのぼのとさせたのだった。
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