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愛也と触れ合う時間はなによりも癒されて。
体温で、じんわりと胸の奥が暖かくなって、
心の渇きが満たされる。
「……」
けれど、……足りない。
自らの強い衝動に突き動かされた次の瞬間。
色白の首筋に添えていた左手を後頭部に移動
させて、支えながらさらに上を向かせると、
驚いた反動で無防備になった舌に吸い付く。
「んぅ」
愛也は、唾液を飲み込みながら声を漏らす。
頭を固定された状態ではどうしようもない。
それでも健気に応えるそのさまにひどくそそ
られて、淫らな音を響かせては夢中で耽る。
すると。
「んん、……んっ……」
右手が、俺のスウェットの袖を軽く掴んで、
言葉の代わりに訴えた。
熱情のままに貪っていたことにハッとして、
ようやく唇を解放する。
「……止まらなかった。
ごめん」
とろりと目を潤ませる妻の口元を指で拭う。
スウェットの下の体は火照ったように熱く、
普通に新婚旅行の話なんてできそうにない。
太腿の上で放置されたカタログをテーブルに
戻すと、ゆっくりと腕を回して抱きしめた。
「はあ」
パーカーを着た肩におでこを載せ息を吐く。
気持ちが高ぶってついがっついてしまった。
今回みたいなことは夫婦なら起こりうるし、
一時的な出来事なのに。
たかだか2週間触れられなかっただけでこの
ザマだ。
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