12/29
前へ
/188ページ
次へ
「分かってたんだけど。 ……2週間寂しかった」 情けないついでに胸に閉じ込めていた本音を こぼす。 婚約期間が5年以上と長かったからだろう。 朝も夜も当たり前のように愛也がいることが めちゃくちゃ嬉しくて。 『愛してる』の気持ちを肌でも伝えたくて、 休みの翌朝はベッドから起き上がれなくなる くらい、隅々まで愛でる日々が続いていた。 それが、ぱったり無くなってしまったのだ。 自覚していた以上に実は堪えていたらしい。 「私も」 知らず知らず黙ったままでそうしていると、 愛也が、肩越しに呟く。 「私も寂しかったです」 そして、宥めるみたいに背中を撫でてから、 ぎゅっ、と抱きついた。 それで、強く実感する。 仕事で忙しく過ごす夫を側で見守りながら、 ずっと、こうしてゆっくり話したり触れ合う 時間を待っていたのだ。 「うん、……ごめんな」 しばらく寂しい思いをしたのはどちらもだ。 今後は、意識して二人の時間を確保しよう、 愛也をほったらかしにしないようにしようと 反省し、ぽんぽんと手を頭に置いて詫びる。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1080人が本棚に入れています
本棚に追加