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「分かってたんだけど。
……2週間寂しかった」
情けないついでに胸に閉じ込めていた本音を
こぼす。
婚約期間が5年以上と長かったからだろう。
朝も夜も当たり前のように愛也がいることが
めちゃくちゃ嬉しくて。
『愛してる』の気持ちを肌でも伝えたくて、
休みの翌朝はベッドから起き上がれなくなる
くらい、隅々まで愛でる日々が続いていた。
それが、ぱったり無くなってしまったのだ。
自覚していた以上に実は堪えていたらしい。
「私も」
知らず知らず黙ったままでそうしていると、
愛也が、肩越しに呟く。
「私も寂しかったです」
そして、宥めるみたいに背中を撫でてから、
ぎゅっ、と抱きついた。
それで、強く実感する。
仕事で忙しく過ごす夫を側で見守りながら、
ずっと、こうしてゆっくり話したり触れ合う
時間を待っていたのだ。
「うん、……ごめんな」
しばらく寂しい思いをしたのはどちらもだ。
今後は、意識して二人の時間を確保しよう、
愛也をほったらかしにしないようにしようと
反省し、ぽんぽんと手を頭に置いて詫びる。
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