2年後のふたり

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ベッドのスプリングが音を立てながら軋む。 室内は、夢中で抱き合った二人の熱気でいっ ぱいで、くらくらするくらいひどく濃密な、 甘い空間になっていた。 「ひゃ、っあ……あ!」 五感が痺れるような絶頂を共に迎えたくて。 膝裏に手を入れ体重をぐっと前へと移せば、 必然と腰半分から下が反って浮く形になる。 交わる角度も包まれる深さも一層深くなり、 同時に達してしまうのは時間の問題だった。 「やぁ、深っ……い、それ、っあ!ああっ」 愛也が、両手で強く枕を掴んで痴態を晒す。 ずっと、こうしたいと。 一体いつから待ち焦がれていたのだろうか。 その甘い肌も唇も全部自分だけのものだと、 もっと、……感じたい。 もっと。 欲しい。 「あっ、い……、っく」 欲情を剥き出しにして腰をめり込ませると、 愛也も、それに応えるように吐息を漏らす。 とろり、と溶けた瞳と時折目が合うだけで。 途切れ途切れにただ名前を呼ばれただけで、 愛おしくてたまらない。 「愛也、……愛也……」 瞠目し、奥を揺さぶる。 これまでも『愛してる』も『好きだよ』も、 日々伝えてきたけれど。 これからもこの気持ちは生涯変わらないと、 最愛の妻を抱き尽くす中で誓ったのだった。
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