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職場で、結婚相手について知っていたのは、
半年前、新店舗の店長に抜擢され異動した三
浦さんだけだったから。
年上の会社員が実は人気モデルだと判明し、
店長の久保田さんも香坂さんも本永さんも、
揃って『えーっ！マジで？』と驚いていた。
そして、あらためて結婚を祝福してくれて。
『そういえばプライベートでうちに来てくれ
たよね」
店長に至ってはこんなことまで覚えていて、
その記憶力にびっくりさせられたのだった。
「本当、いい奥さんよ。
私も見習わなきゃだわ」
香坂さんが感心を口にしながら紅茶を飲む。
と言いつつ同い年の旦那さんとは仲良しで。
先日も、結婚記念日に温泉旅行に行ったと、
香坂さんからちらっと話を聞いたばかりだ。
「私は私生活でサポートしてるだけだから。
実際は、主人の周りの皆さんのおかげです」
自分も働いていた時はここまで実感がもてな
かった。
けれど、休職して夫の収入で生活するように
なって、お仕事でお世話になっている方への
感謝がさらに深まって。
多忙な日々を過ごす直生に対しても『ありが
とう』『お疲れさま』の気持ちをより一層、
言葉と行動で惜しみなく伝えるように心がけ
ている。
「……。
そっか。
これは、第三者が入り込む隙はないかなー」
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