Happy ever after

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中旬になったら一段落するみたいだけれど。 あと2週間こういう忙しさが続くと聞くと、 自分に、何かできないだろうか?役に立てる ことはないだろうか?という思いが膨らむ。 「お湯沸かしてるから。 ゆっくり浸かって疲れをとってくださいね」 温かいお茶が入ったマグカップを前に置き、 夫が食べ終わった食器をキッチンへと運ぶ。 悠生はもう子供部屋で寝ている時間なので、 貴重な夫婦水入らずだ。 「うん。 ごめん、……ありがと」 「このくらい全然です。 家族の為に毎日頑張ってくれてるんだから」 申し訳なさそうに言う表情に微笑を返して、 手早く洗い物を済ます。 その後、食器を布巾で拭いていた時だった。 直生が、こちらへやって来て背後に立ったと 思うと、何も言わずに緩く抱きしめてくる。 「ちょっと充電させて」 はあー、と大きなため息を吐きながら呟く。 これは思いの外疲れてきている証拠だろう。 仕事にストイックな夫が弱音を漏らす姿は、 母性本能をくすぐって。 「背中流しましょうか」 癒してあげたい一心で思わず声をかけると。 「じゃあ愛也も入ろう」 それを期待していたとでも言わんばかりに、 途端に、甘く優しい口調で誘うものだから。 こくん、と首を縦に振って応じるのだった。
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